劇団「DULL-COLORED POP(ダルカラ)」を主宰する劇作家谷賢一からハラスメントを受けたとして、女優の大内彩加さんが提訴しました。
大内彩加さんはことの経緯を文章で発表したり、オンライン会見を開いたりし、「ハラスメントが絶えない現場でした。被害者はたくさんいます。私は声を上げ続けていきたい」と訴えています。
一方で、谷賢一は「事実無根である」と全面否定。司法の場で争うとのことです。
そのハラスメントの内容はどういったものだったのでしょうか。くわしくまとめてみました。
谷賢一ハラスメント内容「自覚無きセクハラ常習者」
大内彩加さんは12/15、ことの経緯をnotoにまとめ発表しました。


お知らせです。
私、大内彩加はDULL-COLORED POP主宰 谷賢一を提訴いたしました。noteには以下の文章含め、より詳細にどうして告発に至ったかの経緯も記載しております。
まずは画像に纏めた文章を御一読いただけますと幸いです。
「全ての人たちへ」
https://note.com/saika_0702/n/ndccf29034690
#MeToo #MeTooJapan
多くの葛藤の元、泣き寝入りはしないとの強い覚悟を持って提訴を行ったのが伺えます。大内彩加さんが受けた性加害は以下のとおりです。

「日常的に胸やお尻を触る」
「卑猥な言葉をかけられる」
「卑猥な内容のLINEが送られてくる」
もっと深刻な、辛すぎる性加害もありました。

訴状によると大内さんは2018年7月、東京都内で谷さんと飲酒後に「終電を逃したから家に行く」と言われ、自宅で力ずくで性行為をされたなどとしている。

駅のホームで羽交い締めにされ胸をもまれたり、性行為を強要されることもあった
谷は大内さんのLINEに多くの卑猥な言葉も送っていたそうです。

「大内くん、彼氏できたんだってね…。おめちゃんと報告しろよ……。勝手におっぱい触ってごめんね……また触っていいときあったら教えて下さい触りたいです……」(原文ママ)
大内さんが受けたセクハラはおそらくもっとたくさんあったのでしょう。2018年に受けたことを今になったやっと話をすることが出来るようになった、と言っています。被害を受けたことによる傷が深かったことが伺えます。現在もうつ病などで病院にも通っているとのこと。

私は今、適応障害・うつ病を患い精神科に通院、投薬治療をしています。
何度も自殺をしようとしました。
主治医からは「劇団を辞めるか演劇を辞めるかどちらかを選んでください」と言われています。
更に谷は、セクハラだけでなくパワハラも日常的に行っていたようです。
谷賢一ハラスメント内容「パワハラ正当化の昭和脳」
谷は女性にセクハラだけでなく、男女問わずパワハラもしています。大内さんのnoteに上げられた一例をまとめました。

「稽古中に飲酒をしながら稽古をする」
「酩酊状態で稽古場に来る」
「性的な演出を演者の許可を取らず行う」
「若い役者・スタッフを複数人の前で怒鳴りつける」
「女性キャストに肩を揉ませる」
「女性を必ず自分の隣に座らせる」
「物に当たる、態度に大きく不快感を出しながら稽古をする」
「急に人を叩く、蹴る」
大内さんは、まだまだ言葉にしきれないほどのハラスメントがあると言っています。
その証拠に、次々と他の方が谷が日常的にハラスメントを行ってきた事を証言し始めました。
りとうさきさんは、くじら座なごやを主宰する演劇女性です。舞台の企画や演出など、谷と同じようなお仕事をしていいます。そのりとうさんも「今後、谷とは関わりなくない」と話してくれました。


谷さんの現場に入っていたのは去年の約1ヶ月だけですが、谷さんの創る演劇に憧れていただけに、彼や現場の実情は私にとってショッキングなものでした。演劇の現場はそういうものと言われればそれまでですが、一社会人としてこれ以上関わらないほうがいいと判断しました。詳細は今ここでは書きません。
パワハラやセクハラが横行していた現場と思われるようなツイートです。「演劇の現場はそういうものと言われればそれまで」という発言も気になります。演劇業界がクリーンではないことを示唆しているかのようです。
「DULL-COLORED POP(ダルカラ)」に所属している俳優たちも次々と、大内さんの訴えを受けダルカラを退団すると発表しました。


宮地さんは多くのセクハラを目撃したと証言しています。

谷賢一は劇団の現場においてセクシャルハラスメントとパワーハラスメントの常習者でした。特にひどいのはセクハラです。私が目撃している範囲でも女性俳優の身体に触れることはしょっちゅうで、俳優が嫌がったり、まれに周りが注意してもやめませんでした。抱きつく、胸を揉む、肩を揉ませるということもよく見ました。私はセクハラの対象ではなかったので詳しい個別描写や時期に言及することは避けますが、本当に、ひどいです。過去にある劇団員に対するひどいセクハラLINEを注意した際、酔っていたのかセクハラを更に激化させてしまったこともありました。翌日に謝罪はあったものの返事はしていません。私はあの件をいまだに許せないまま、それをハッキリ言うこともできないままここまで引きずっています。
更にパワハラも受けたと語ってくれました。

パワハラもありました。例えば、ある稽古では私のミスでシーンが止まると怖い声で怒鳴られたことがありました。私の未熟なミスに対する指導ではありましたが、必要な範囲を全く超えています。また稽古場に酩酊状態であらわれたり稽古場で飲酒することがよくありました。ある稽古のダメ出しでは、谷が酔って机に頭を打ち付けて怒鳴るところをみたあとに、稽古を続けなくてはいけませんでした。本番の直前にスタッフを恫喝したり、またあるスタッフには蔑むような口調で命令するのを目撃したこともあります。私に対するものではありませんでしたが、周囲の俳優やスタッフが見ている中で行われており、環境型パワーハラスメントでもあったと思います。
宮地さんは谷に逆らえず、多くのセクハラを黙認してしまった、と自責の念に駆られ今後は劇団活動に参加したくない、するべきではないと退団を決めました。
そして、この発表に阿久津京介さんも賛同し退団を決めました。



私は2022年5月、DULL-COLORED POPに入団しました。そしてその直後、谷によるハラスメント行為の噂を初めて耳にしました。それは、本件とはまた別のものです。その詳しい内容についてはここでは伏せさせていただきますが、1つや2つではありません。私の入団を知って心配する連絡をくれた劇団外の友人もいました。

それらの噂を目撃したわけではありません。その現場にもいませんでした。しかし噂を知ったとき、本当にできることは何もなかったのか。そこには疑問が残るのです。
私は今日に至るまで、何の行動も起こすことができませんでした。「当事者間の問題に介入することで、それが意図しない二次加害に繋がり、被害者の方をさらに深く傷つけてしまうのではないか」と理由づけて、自分を正当化していました。噂について考えないようにしてしまいました。何も聞かなかったことにしてしまいました。何度も疑心暗鬼になりながらも、谷と創作を続けてきてしまいました。これは自分の落ち度と言う他ありません。本当に情けないです。本当に反省しています。谷の作品が発表されるたびに被害者の方たちが苦しんでいたかもしれないと思うと、本当に慚愧に堪えません。
だからこそ、今回先んじて並大抵ならぬ勇気で声を上げてくれた大内さんと宮地さんを見捨てるようなことは絶対にしたくありません。
阿久津さんは、谷の行為を目撃しておらず噂は話を聞いていたのみと話ています。しかし、その噂話は非常に多く、それを止められなかったことに責任を感じているとのこと。
そして、声を上げた大内さん、宮地さんに賛同し被害者救済の手助けをしていくと熱く語ってくれました。
塚越健一さんもまた、大内さんと宮地さんの意見を支持し退団を決めました。



稽古場において、谷氏が休憩中に女性に肩を揉ませている、打ち上げや、懇親会等の時に女性を隣に座らせる、しばしば休憩中に胸やお尻をさらるという行為を目にする事がありました。
私も全てを見ていた訳ではありませんが、胸やおしりを触るという行為があれば、その場で周囲も注意を発してはいました。しかし、対象者も複数人にたため、全てに注意は出来ていなかったと思いますし、ともすればその場の空気や口調に紛れ、中音も受け取られず、ましてやその行動を抑制、抑止し自制を促すに足るものではなかったかも知れません。

そして私自身も、稽古中に過度では無いかと思われる叱責を受けることが度々ありました。それが私の感覚を麻痺させてしまっていたのだと今、冷静になれば理解できます。
コレが私のような古い人間の価値観のズレなのでしょうが「出来ていない私が悪いのだ」、「そのレベルに至っていない自分の努力が足りないのだ」と、自身の責任と感じハラスメントであると言う認識をしてはおりませんでした。また、そのことによる自身の負い目が、弱さがほかの行為への黙認へとつながり、結果として加害に加担していました。本当に申し訳なく思っています。
塚越さんは知らず知らずのうちに、セクハラやパワハラを黙認してしまい、加担していたと謝罪し退団を決めました。
セクハラは女性は声をあげにくいものです。多くの男性劇団員が声をあげたことによって、他の女性団員も今後声を上げていくかもしれません。
谷賢一ハラスメント内容「炎上商法のネタにされた」
しかしながら、これだけのことをしておきながら、谷は事実無根と言い放ち全面的に争う意向を示しています。



本日、大内彩加さんによりインターネット上に発表された文章についてコメントさせて頂きます。彼女の文章は事実無根および悪意のある誇張に満ちており、受け入れられるものではありません。訴状が届いていないため起訴内容については確認できておりませんが、司法の場で争う所存です。
私は自分自身、全く聖人君子ではなく、非常に大きな問題を抱えた人物であると自覚しております。かつては稽古場で怒号を飛ばしたこともありました。性的なハラスメントもあったと反省しています。それらについては時効はありませんから、機会を頂きつつ謝罪や和解を続けていきたいと考えています。しかし忘れもしない2016年、私自身がある演劇現場(劇団外でのプロデュース公演)で年上の俳優やプロデューサーから非常に強いパワーハラスメントを受けた際、私はもちろん、私以上に萎縮してしまっていた座組のメンバーたちの姿を見て、今後はそのような手段に頼らず現場に立つべきだと自覚を強くしました。忘れもしない2016年のことです。
それ以降も社会でハラスメント対応および人権意識が高まる中、周囲の友人・先輩や専門家にも相談し、自身の行いを改めて参りました。彼女と初めて仕事をしたのは2018年です。私が彼女に対し訴えにあるような行いをしたことはございません。「そのつもり」がなくとも相手が不快に思うようなことが起きたり、言ってしまった場合には、その都度冗談にせず謝罪することを心がけてきました。それでも至らぬ点はあったかもしれませんが、その間の私の自分自身をアップデートしようという努力は、座組みを同じくしたスタッフ・俳優たちが証言してくれるものと信じています。またここには書けませんが、彼女に対する強い別の反論と抗議も持ち合わせております。
大内さんや宮地さんとは、今年の夏に一緒にリスペクトトレーニング講習を受けたり、ハラスメント講習を受けた上で、今後劇団としてどのような環境づくりをしていくか対応を協議していました。それも「劇団内で問題が起きたから」というきっかけではなく、演劇界で起きていた様々なハラスメント事件を他人事とせず、劇団として自分たちの対応をアップデートしていくための自発的な動きでした。そんな中、今回このように寝耳に水の形で、公演前日に訴えを起こされたことは大変心外です。これはれっきとした名誉毀損であり、私が今準備している公演遂行のためにも看過することができません。そして何より私自身の名誉のためにも、取り下げて頂くまで戦う覚悟でおります。
取り下げて頂くまで戦う覚悟とまで言っています。少し怖いですね。
大内さんは、notoでも言っていましたが、自分自身の行っているハラスメント行為を自覚してません。

しかし谷は、自身が性加害を行ってきたこと、ハラスメント行為をしてきたことの自覚がありません。
2022年6月、劇団内のハラスメントについて話し合う会が行われた時に谷が「自分はハラスメントをしたことはない」「もししたとしても●●(過去の劇団員)の尻を揉んだくらいだ」と発言したことを私は忘れません。
自覚が無ければ何をしても良いわけではありません。特に親しくもない女性の身体に触れるのは、普通の感覚ではありえません。
パワハラに関しても、本当に稽古のための、演劇のための叱責だとしたらここまで多くの声は上がらないでしょう。自分の気分で、ご機嫌で𠮟責するのであればこれはパワハラと言わざるを得ません。